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東京都中央区の心療内科、メンタルクリニック 東京メトロ日比谷線築地駅徒歩1分、有楽町線新富町駅徒歩3分
つきじ心のクリニック 院長の榊原です。
きょうは産後うつについてです。
出産を終えた後の女性の身体は、まずはホルモンのバランスが急激に変化する不安定な時期です。それに加えて「母親になる」ということの喜びは大きいですが、精神的な負担が大きくなる時期でもあります。
また最近は少子化、核家族化により家族や社会からのサポートが不足する傾向になります。
そうした中、産後の時期にメンタルヘルスに問題をかかえる女性が多くなっています。先日中央区の保健センターにうかがったのですが、やはり「産後うつ」の方は多いとのことでした。
なかなか時間やお子さんを抱えていて受診の動機や余裕が生まれず、保健師さんから受診を勧めてもうまくいかないことが多いそうです。
<産後うつとは>
出産後の比較的早い時期から、10~15%の頻度で生じると言われています(2000年、Yamashitaら*)。分娩直後から1週間までに出現する一過性の気分の変調である「マタニティーブルー」に対して、「産後うつ」は産後4週以内から産後1年までに発症するうつ状態のことを指します。症状はうつ病・うつ状態とほぼ同様ですが、出産後で育児を始めたばかりの母親特有の心理を考慮しながら治療を勧めて行く必要があります。子供の成長発達に対する不安や、母親としての自分を責める心理など、母子関係や育児にまつわる訴えとして表現され、「産後うつ」とまで気づかれないことがあります。
治療はうつ病の治療に準じますが、育児をしているという生活に配慮することはもちろんのこと、薬物療法の際には授乳に対する配慮も必要になります。
*Yamashita H et al. : Postnatal depression in Japanese women detecting the early onset of postpartum mood. J. Affect. Disord. 58 ; 145-154, 2000.