つきじ心のクリニック

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うつ病とアルコールについて

東京都中央区の心療内科、メンタルクリニック 東京メトロ日比谷線築地駅徒歩1分、有楽町線新富町駅徒歩3分

つきじ心のクリニック 院長の榊原です。

うつ病の方にアルコールの問題が合併することは珍しくありません。うつ病や不安障害の方はアルコール依存症になりやすい傾向(危険因子)にあることはよく知られています。逆にアルコール依存症の方の中にうつ病が隠れていることもよくあります。

単にお酒が好きだ、という理由で飲酒することもありますが、一方で「やる気がでない」「緊張をやわらげたい」「不安感を何とかしたい」「寝つきをよくしたい」などの理由でアルコールに手が出てしまう方も多いと思います。

しかしながら、残念なことにアルコールはうつ症状や睡眠を改善する作用はありません。むしろうつ症状を強めたり、眠りを浅くしてしまう作用を持っています。繰り返し飲酒していくうちにやめられなくなり、アルコール依存症になる可能性も少なくありません。またアルコールの利尿作用によって、夜中にトイレに起きてしまう可能性が高くなります。

うつ病とアルコール、自殺は非常に関連性が高いとも言われています。うつ症状が重症になると、思考や判断力が低下したり、ネガティブになりますが、飲酒によっても思考力・判断力が低下し、思考の幅が狭まってしまうことがよく言われています。またアルコールは衝動性を高めるとも言われています。したがって、うつ症状が重く「死にたい」という気持ちが強くなっている場合、アルコールを摂取することで思考の幅が狭まり、衝動性が高くなりコントロールが効かなくなっていること、痛み刺激に鈍感になってしまうことなどの要因が重なって、自殺行動に至る確率を高めてしまうことはよく知られています。

 

また薬を飲むときに、飲酒については注意が必要になります。抗うつ薬や精神安定剤を服用中に飲酒をすると、薬が効きづらくなったり、逆に薬が効きすぎたりする場合があるので注意が必要です。また困った副作用を引き起こす場合もあります。基本的にはお酒と薬は併用しないことが望ましいと思います。詳しくは、医師と飲んでいる薬について個別に相談してください。

 

最後に、アルコールと睡眠についてです。飲酒をすると眠くなるので、一見眠りをよくするような気がしますが、実際は寝つきをよくするだけです。アルコールは自然によく眠れる時の睡眠の深さを妨げます。そのため、結局は良質の睡眠をとる妨げになるのです。うつ病で不眠がひどい場合は、日常生活の見直しはもちろんですが、適切な量と一定期間、睡眠薬や抗不安薬などで睡眠の質を上げることをおすすめしています。

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