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東京都中央区の心療内科、メンタルクリニック 東京メトロ日比谷線築地駅徒歩1分、有楽町線新富町駅徒歩3分
つきじ心のクリニック 院長の榊原です。
今日は更年期障害と不眠との関係についてお話しします。
不眠は女性に多いことが報告されています。下のグラフはアメリカで100万人を対象に行った
「眠れないと訴える男女」の年代別の割合を表したグラフです。
(Hammond EC, Am J Public Health Nations Health. 1964)
グラフをよく見ると、もともと女性に不眠が多いのですが、50代前半のところで大きく男女差が開いている
と思いませんか?
この差が開いていることに関係していると言われるのが、女性の閉経です。一般的に女性は50歳前後で
閉経を迎えることから、不眠と閉経が関係があると言われています。
更年期には女性ホルモンの分泌の変化、すなわち卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)といった卵巣ホルモンの分泌量が低下し、逆に卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)といった
脳(下垂体前葉)から分泌されるホルモンの分泌がしばらく上昇すると言われています。
このことが、更年期障害の原因と言われています。
この時期にどのような不眠が多くなるかといいますと、入眠障害(寝つきが悪い)、中途覚醒(途中夜中に目が覚める)、早朝覚醒(朝早く目が覚める)のいずれも閉経期に多くなると言われています。
不眠症の治療ですが、基本は日常生活の改善です。そのやり方は以前のブログでも述べたので、
ここでは省略します。しかしこの更年期女性の不眠症は、日常生活の改善だけではなかなか改善しない
ことも事実です。その理由は今回述べたとおり、ホルモンの変化が脳に影響を及ぼしているからといえる
と思います。その場合、睡眠薬(睡眠導入剤など)を適切に使用して、症状を改善することも選択肢の
一つだと思います。不眠は薬で症状が改善しやすいものの一つで、長く悩んでいるよりも一度ご相談されて
みてはいかがでしょうか。